2016年度 大江宏賞公開講評審査会

第13回を迎えた大江宏賞公開講評審査会は、2017年3月26日(日)法政大学市谷田町校舎5Fマルチメディアホールにて開催されました。

今年の審査は、昨年同様、外部の特別審査員3名とOB審査員3名に加えて、審査委員長の飯田善彦大学院客員教授の計7名で行われました。エントリーした学生は、18名参加の学内審査から選ばれた6名でした。審査は、各審査員が作品2点にそれぞれ重みづけ(3ポイント、1ポイント)を加えた投票を行い、集計数の多い作品を最優秀作品として妥当か議論する方式ですすめられました。

 今年のエントリー者は、2011年の震災の年に建築学科に入学した学年です。計画地の危機的状況への気づきを、建築的対応によりいかに再生復興するかに格闘した6作品。各案への質疑応答は、研究と計画(デザイン)、手法と最終像の相違をめぐる深い問題意識が感じられるものでした。

その中で、千葉・市川の郊外住宅地の更新を提案した前波可菜子さんの作品が、情感のあるドローイングであらわされた、断続するささやかな斜面地に建築的操作を加えた環境更新が評価されて、満場一致で見事大江宏賞を受賞し、大江宏賞運営委員会より受賞メダルと賞金30万円が手渡されました。

なお、この日の6名の候補大学院生は発表順に以下の通りでした。

 

1、藤田 涼「神田を結わく建築―異化作用を用いた中小ビルの連結手法の研究―」(赤松研究室)

2、藤原 健太郎「人・建築・都市・時をつなぐ―パタン・ランゲージを応用した復興小学校再生計画―」(渡辺研究室)

3、後藤 智史「中雁木―新潟県上越市高田における町家の新しい住まい方の提案―」(渡辺研究室)

4、有田 朋央 「祭りと共にある風景」(下吹越研究室)

5、前波 可菜子 「周縁のつむぎ―斜面林からはじめる郊外住宅地の再考―」(渡辺研究室)

6、櫻井 花子「まちの学び舎―6つの寺院と学校を核とした地域コミュニティの形―」(赤松研究室)


審査員:審査委員長 飯田 善彦 (飯田善彦建築工房/法政大学大学院客員教授)

    特別審査員 池田 昌弘  (MASAHIRO IKEDA co., ltd)

          高橋 晶子  (ワークステーション/武蔵野美術大学教授)

          野沢 正光 (野沢正光建築工房)

    OB審査員 大村 真也(シーラカンスアンドアソシエイツ)

          轟  洋子(源池設計室)

          森田健太郎(森田アトリエ一級建築士事務所)         


1、藤田 涼「神田を結わく建築―異化作用を用いた中小ビルの連結手法の研究―」(赤松研究室)

2、藤原 健太郎「人・建築・都市・時をつなぐ―パタン・ランゲージを応用した復興小学校再生計画―」(渡辺研究室)

3、後藤 智史「中雁木―新潟県上越市高田における町家の新しい住まい方の提案―」(渡辺研究室)

4、有田 朋央 「祭りと共にある風景」(下吹越研究室)

5、前波 可菜子 「周縁のつむぎ―斜面林からはじめる郊外住宅地の再考―」(渡辺研究室)

6、櫻井 花子「まちの学び舎―6つの寺院と学校を核とした地域コミュニティの形―」(赤松研究室)

 



OB審査員の方から、審査を終わっての印象をお聞きしました。

轟洋子さん

普段は住宅を専門に設計しておりますが6人の修士設計の調査から形になるまでを拝見し、街と建築との繋がり、そこに暮らす人、通過する人など人と街と建築の関わり方の大切さを住宅という一番小さなコミュニティをつくる上で改めて実感しました。どの作品も甲乙付け難く、点数という数値で表す事は大変難しかったです。有田君、後藤君の二人に関しては地方のいち都市を活性化するという提案、是非、少し手を加え、自治体へ実際に持っていってほしいです。