2019年度 大江宏賞公開講評審査会

第16回を迎えた大江宏賞公開講評審査会は、2021年3月27日(土)法政大学市谷田町校舎5階マルチメディアホールにて開催されました。昨年2月にコロナ感染防止のため延期を決定後、スケジュール調整を経て約1年後の実施でした。コロナ禍対応により、聴講は事前予約制のZOOM視聴となりました(在学生等を除く、当日の事前予約視聴者は27名でした)。

審査は今回、外部の特別審査員2名とOB審査員2名、および2019年度まで修士設計の指導にあたられた大野秀敏大学院客員教授が審査委員長として計5名で行われました。学生は、34名参加の学内審査から選ばれた5名がエントリーしました。個々の10分の発表・10分の質疑応答ののち、場外廊下でのフリーなパネルセッション、さらに全体質疑・議論を経て審査員5名の第2選までの投票および選案への講評が示されました。

台湾の食文化を拠り所に美しい建築造形とプレゼで生活拠点を提案した呉沛綺(ゴペイチイ)さん、小諸の風穴利用を環境建築として継承展開した住居施設を計画した稲垣知樹さん、八戸のロングトレイルルートに散逸的に木造架構の詩情性のある施設を計画し新しい風景を描いた野藤優さんの3案に複数票が入り、中で審査員全員の票を得た野藤優さんが大江宏賞の栄冠を手にしました。

説得力のある説明も秀でており、コンセプトから構法・建築空間にいたる各フェーズが高いレベルで統合されていることが全審査員の評価につながり結果をもたらしました。

発表者にとって、1年遅れの審査会という特異な状況でのプレゼはやりにくさがあったかもしれない。一方、それぞれアトリエ事務所、ゼネコン、ハウスメーカー、デベロッパー、組織事務所と各様の環境で建築実務にかかわりつつ、学生としての集大成的自作品を相対化する1年という時間が、発表の言葉に垣間見られた講評会でした。

なお、この日の5名の候補者は発表順に以下の通りでした。

1. 呉  沛綺  「台湾味ミリュー -宜蘭の礁渓における共食景の提案」            (下吹越研究室)

2. 矢加部 翔太 「小さき他者との建築」                          (渡辺研究室)

3. 稲垣 知樹  「地の呼吸を頒(わか)つ ー風穴を氷集落と移住者のための共有地へ更新する建築ー」(赤松研究室)

4. 岩間 麻優   「地域における児童養護施設の分解」                         (赤松研究室)

5. 野藤 優   「歩く都市横断 ーロングトレイルによる非効率的経験とその価値化-」     (赤松研究室)


審査員:審査委員長 大野秀敏 (アルプデザインワークショップ/東京大学名誉教授)

    特別審査員 富永 譲 (富永譲・フォルムシステム/法政大学名誉教授)

          多田 修二(多田修二構造設計事務所/千葉工業大学准教授)          

    OB審査員   清水 航太(日建設計)

 中込 亜矢子(株式会社NENGO)       


1. 呉  沛綺  「台湾味ミリュー -宜蘭の礁渓における共食景の提案」(下吹越研究室)

2. 矢加部 翔太 「小さき他者との建築」(渡辺研究室)

3. 稲垣 知樹  「地の呼吸を頒(わか)つ ー風穴を氷集落と移住者のための共有地へ更新する建築ー」(赤松研究室)

4. 岩間 麻優   「地域における児童養護施設の分解」(赤松研究室)

5. 野藤 優   「歩く都市横断 ーロングトレイルによる非効率的経験とその価値化-」(赤松研究室)