2013年度建築学科卒業設計公開講評審査会は、2月1日(土)13:30より市谷田町校舎5階マルチメディアホールで行われました。
ゲスト審査員に建築家、山本理顕、手塚由比、ヨコミゾマコトの3氏を迎え、エントリーした15名の学生による白熱したプレゼンテーションが行われました。

その結果卒業設計賞及び、特別審査員賞には以下の学生が選ばれました。

卒業設計賞
1位  山口 雄司 (網野研究室) 「お湯の通り道」
2位  林 沙希子 (富永研究室) 「記憶の集塊」
3位  久保 公人 (赤松研究室) 「人工島の記憶」
4位  藤下 彩   (富永研究室) 「言葉を織る」
5位  奥村 彩希 (陣内研究室) 「トドマル/メグル」

特別審査員賞
・ 山本 理顕 賞    林 沙希子  (富永研究室)  「記憶の集塊」
・ 手塚 由比 賞    山口 亜弓  (陣内研究室)  「芸術家の卵のための寄宿村」
・ ヨコミゾマコト 賞  山口 雄司  (網野研究室)  「お湯の通り道」 

「お湯の通り道」は、山梨の湯治場を聖なる空間を付加し再生する計画。散逸的な既存施設各々を読み解き丁寧に具体策を講じた姿勢が高く評価されました。「記憶の集塊」は、故人となられた方々の蔵書を集積した新しい図書館像の提案。渋谷の喧騒を背景に、黒くそびえる建築の姿形が鎮魂の思いを伝える作品です。「人工島の記憶」は、東雲運河に浮かぶ防塁跡に、細長い敷地に合わせたのびやかで詩情性をこめた造型でまとめた火葬場の計画。「言葉を織る」はさながら私小説のごときプレゼンが印象的な、"建築は誰のためのものか"をてがかりとした桐生を敷地とする成長する建築の提案でした。「トドメル/メグル」は郷里の大谷の採石場を拠点とする街の再生計画です。「芸術家の卵のための寄宿舎」は、参道わきに地域の記憶に寄り添うような木造2階建ての小さな建築群で再生しようとするものでした。

総評として、散漫になりがちなテーマをしっかり絞り込んで伝えてほしい(手塚氏)、アートや緑といった聞こえの良い言葉による安易な思考に止まってしまうことを戒めたい(ヨコミゾ)、美術館、図書館、ギャラリー、学校など既視感のある施設のあり様にこそ疑いを持つべき(山本)、まだ見ぬ建築に思いをはせよ(富永)、など各先生方より学生たちのこれからを含めてのメッセージがありました。また、15名中13名がスタジオ-7(前期の4年設計製図)の受講者であるというデータをふまえ、後輩学生へ早めの取り組みも示唆されました。
11月卒論提出後の実質2ヶ月ほどの、自身の集大成をめざし集中的にエネルギーをぶつけた短距離走は、各々の果敢な挑戦の痕跡を示しておわりました。


審査会場風景

01. 石川 志織 (富永研究室) 「大いなる小屋 −演劇とアートのたまり場−」

02. 奥村 彩希 (陣内研究室) 「トドマル/メグル −大谷エコミュージアム構想−」

03. 表  義之 (赤松研究室) 「街の隙間」

04. 久保 公人 (赤松研究室) 「人工島の記憶」

05. 小宮 みちる (渡邉研究室) 「支える壁はまちを結ぶ」

06. 柴田 侑亮 (下吹越研究室) 「連鎖する家」

07. 杉山 勇樹 (下吹越研究室) 「接岸都市」

08. 長谷川 裕馬 (赤松研究室) 「無縁の祝祭」

09. 濱野 みのり (渡邉研究室) 「巡る梁の間」

10. 林 沙希子  (富永研究室) 「記憶の集塊  −故人達の精神の墓−」

11. 藤下 彩   (富永研究室) 「言葉を織る −コミュニティラジオから地域再生へー」

12. 宮崎千尋   (富永研究室) 「いまここで −遊ぶ、学ぶ、感じる、わたしになるー」 

13. 八木 光   (渡邉研究室)  「畑の玄関 −駅x都市農園−」

14. 山口 亜弓 (陣内研究室)  「芸術家の卵のための寄宿村 −高円寺参道で行われる創作と発信−」

15. 山口 雄司  (網野研究室)  「お湯の通り道」


受賞した6人の学生たち